家系ラーメン集◎川崎「美豚」

 

川崎駅周辺には思いのほか家系ラーメン店が存在する。しかも移転や、中抜きでブランドが変わったりと、布陣は流動的で、筆者はラインナップを詳しく把握していない。

 

今回訪れたのはラチッタデッラ側の路地にある「美豚」。

 

もとは「金也」という家系ラーメン店だったようであるが、この店に変わったのは今年に入ってかららしい。

 

店に入ると、8席程のカウンターに先客が一人。店員さんは居ない。家系ラーメン店には珍しく券売機がないので店員さんに申し付けるシステムだが、居なければそれができない。

 

困っていると奥の方から、女性の店員さんが出てくる。トイレにでも行っていたようである。

 

店内はキレイであるが、豚骨の匂いはなく、厨房の方にある寸胴は随分小さい。店内で豚骨を炊いていないような雰囲気であるが、確証はない。

 

祝日の昼下がりに一人で切り盛りしていて大変そうである。しばらくして運ばれてきた私の丼を伺うと、一瞬、普通の醤油ラーメンと見まごうようなサラサラとした液面が丼に広がっていた。

 

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事前調査の結果、「あっさり系の家系」というキーワードがあり飛び付いたわけだが、予想以上である。

 

さっそくスープをいただくと、家系特有の絡みつくような豚骨スープの粘度はなく、するすると喉を落ちていく。全く豚骨の雰囲気が感じられないわけではないが、かなり控えめで、家系を期待して行ってしまうと、物足りなさを感じるかもしれない。荒ぶる豚骨の存在が少ないせいか、いわゆるセントラルキッチンの出前スープなのかとやはり疑ってしまうが、壱角家のような白濁乳化スープのそれとは様子が異なり、これはこれで特徴的である。

 

麺の方も製麺所は不明だが、一般的な家系ラーメン店が用いてるような、小麦しっかりボディの中太縮れ麺よりは、幾分ツルツルしていて、中華そばに入っているような感じ。市販品の感じもする。しかしあっさりしたスープと相まって、ツルツルと上品なこの麺は、この一杯のあっさり感を助長する。

 

遅めの昼ごはんだったが、寝起き後一発目に胃に放り込むのも躊躇する必要がない、とても健康的な家系ラーメンとの出会いとなった。醤油感が控えめな分、出汁感がもう少しあると、個性が増えそう。

 

いずれにせよ、家系ビギナーに進めやすい一杯である。ご馳走様でした。